「取得費加算制度」とは
公開日:2025年11月02日
相続不動産を売却する前に知っておきたい「取得費加算制度」
取得費加算制度は、相続又は遺贈(以下 相続)により取得した財産(不動産や株式など)を、相続後に売却したことにより税金が発生する場合、税額を一定程度減少させることができるものです。
制度の適用条件
①相続により財産を取得し、その相続財産につき相続税を支払っている
②その相続した財産を、相続開始日(死亡日)から3年10か月以内に売却している
③売却により利益が生じている
④売却翌年に必要書類を添付し確定申告を行う
相続税を支払って親の不動産を相続したものの、相続人である子供は使用しない為、市場で売却するケースは多々あります。その相続した不動産が、親が取得した金額よりも大きく値上がりしていた場合は、売却時には多額の利益が生じます。この場合、相続税と所得税の両方がかかってしまうことになりますが、取得費加算の特例制度を適用することにより、一定額の税金を減額することができます。
不動産だけでなく株式や有価証券にも
不動産だけでなく、株式等の有価証券、その他の財産でも同様です。
相続した上場株式をその後に売却して多額の利益が生じるケースがあり、
取得費加算制度を利用することにより多額の税額が減少したケースもあります。
上場企業の株式、もしくは未上場企業の株式のどちらであっても適用は可能です。
不動産を取得した時の契約書などで取得費を証明できれば良いのですが、
実際のところは、被相続人が不動産を取得した時期が大昔である等の理由で、資料がなく、取得金額が不明なケースも散見されます。
その場合は、売却額の5%を取得費とみなして計算する場合もあります。このような場合であっても、取得費加算制度は適用が可能です。
なお、売却した財産が不動産である場合においては、相続した不動産を相続人が居住用財産として利用していた場合の各種特例や、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例も、要件を満たすことができれば適用を受けられます。昨年中に相続により取得した財産を売却し、多額の利益が生じている場合については、これらの特例の可否について税理士等へ事前に相談をしてみてください。